胃と腸ノート
胃潰瘍癌のレントゲン像(10)
安井 昭
1
1順天堂大学医学部消化器外科
pp.60
発行日 1975年1月25日
Published Date 1975/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112094
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〔症例 5〕K. A. 69歳(♂)
噴門部癌,Ul-Ⅳ-Ca,Bor. Ⅲ型(ss)
図1は胃噴門部部分切除の標本である(切除術式に問題は残るが).この噴門直下に存在する潰瘍は前壁側が深く,小彎側は浅い.すなわち不完全ではあるが二重輪廓のみられる潰瘍癌ということになる.また数条の硬化した皺襞が前壁側と胃体部方向から深い潰瘍に向ってのびており,その2~3本は潰瘍縁の手前で中断している.いわゆるBorrmannⅢ型の進行癌である.右方小彎線上で白っぽく見える皺襞は食道粘膜であるが,癌の浸潤はうかがえない.
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