胃と腸ノート
胃潰瘍癌のレントゲン像(4)
安井 昭
1
1順天堂大学消化器外科
pp.716
発行日 1974年6月25日
Published Date 1974/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111900
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〔症例2〕N・0,56歳,(♂).
Ⅱc型.U1-Ⅳ-Ca(sm).
図1は切除標本,図2はそのシェーマである.不規則な輪郭を有する横に扁平な潰瘍瘢痕が胃角上部小彎を中心に存在し,それに向って硬化した数本の皺襞が前壁方向からあつまり,小彎および後壁方向からのチリメン状の小さく硬化した皺襞も瘢痕部と思われる部分に呼び込まれたような像を呈している.これらの小彎側方向からの皺襞は背が低く,かつ細いが,後壁側のそれは3~4本の皺襞がやや膨隆し,病変部に向うにしたがってその尖端部のほそまりが目立っている.なお後壁の矢印の部に大彎側方向から3~4本の粘膜ひだがあつまり,その合流部附近にびらんを思わせる変化がある.
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