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書評「新臨床内科学」
岡安 大仁
1
1日本大学
pp.1556
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111707
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本書は,その序文にも明記されているように,内科学における診断と治療を中心に,各種疾患の概念や考え方について,up to dateの最新の知識がきわめて要領よくまとめられているうえに,従来のような内科教科書の域を脱し,そのまま日常の診療に役立つガイドブックをも日指している画期的な良書である.これらを可能にしているのは,各項目の分担者が,それぞれ全国から選ばれた屈指の専門家達であることや,各分担者が,編集者の方針を守りつつ少ない頁数のなかで十分に重点を記述し尽していることによると思う.
まず,総論では,『診療記録作成にあたって』と『新らしい診療記録の方法』が目をひく.病歴の位置づけや病歴のとり方の反省も教育的であるが,さらにPOシステムによる診療記録については,本書としてはかなりの頁数が費やされており,要を得た解説は,著者の格調高い文章とともに,読者を直ちに実践者に変えずにはおかないような強い魅力をもっている.従来,ややもすれば軽視されがちな総論が,本書では最も生き生きとしている不思議さがある.医学生,研修医はもちろんであるが,20年,30年の経歴をもつ実地医家も,この総論には自らの医学の革新を誓わざるをえなくなるのではなかろうか.また総論に,水と電解質,皮フ病変,眼底のみかた,内科的救急患者のみかたなどがとくに選ばれている.これらだけを選んだのは,各系統疾患の総論との重複をさけて妙であるばかりでなく,実践的内科書として誠に当然で,編集者の達眼に敬服したい.
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