--------------------
書評「消化管内視鏡診断学大系9 小腸」
増田 正典
1
1京都府立医科大学内科
pp.1542
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111705
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
わが国における消化管内視鏡検査技術は世界的にもトップレベルにあり,その進歩はめざましいものがある.ファイバースコープ検査による消化管粘膜の観察と直視下粘膜生検は消化管疾患,ことに粘膜に限局する微小な癌の診断を可能にした.このことは20世紀後半における医学の進展の代表的業績の1つとしてあげることができることである.さらに消化管内視鏡法は診断検査法としての意義にとどまらず,今日では薬剤塗布,粘膜内注射,ポリープ切除,オディ氏括約筋切開術などの治療的意義においても発展をみせているのである.
しかるに,このような著しい発展を遂げた消化管内視鏡法の中で,十二指腸以外の小腸領域は最も遅れた分野であり,フアイバースコープ挿入の到達率すら決して良い成績ではない.正常の場合はまだしも,本来診断検査を必要とする病的状態にする小腸についてはファイバースコープの挿入は充分に可能とはいえないのである.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.