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書評「臨床診断学 診察編」
岡安 大仁
1
1日本大学
pp.374
発行日 1978年3月25日
Published Date 1978/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107249
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本書をみて,まず最初に感ずることは,従来の診断学の教科書とも,またいままでの内科診断学書とも全く趣きを異にしていることである.最も大きな相違点は,本書が単なる内科の診断学ではなく,外科診断もあれば,皮膚科,泌尿器科,産科,婦人科の各科領域にわたって,それぞれの専門家がそれぞれの診察の仕方と評価の初歩を,学生にとりつきやすい形で要点を明らかにしながら要領よく書いていることである.
そこで私は,Connの“Current Diagnosis”をもう一度手にとってみた.Connのそれも,各科の専門家が全科にわたる疾患の要点をわかりやすくまとめていることは確かである.しかし本書のように,学生がベッドサイドに出て,患者をみる際に直接役に立つというのではない.今目的にいえばConnのそれは,やはりdisease orientedである.ではやや古いがHac Brydeの“Sign and Symptom”はどうだろうか.それが古いか新しいかは別としても,症候の基礎的理解のために,従来から米国その他の学生に広く愛読されていたことは十分その価値があったからである.しかし,これとても,学生や研修医が,実習あるいは実践の場で一目で理解しその要領をそのまま利用しうるものではない.
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