一頁講座
大腸癌のX線所見―非対称性の両側変形について(2)
丸山 雅一
1
1癌研究会付属病院内科
pp.36
発行日 1971年1月25日
Published Date 1971/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111389
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前回は,辺縁の一側のみの変形について考えました.今回は,両側変形のうち,左右非対称のものについて説明します.
私どもの経験例では,二重造影像でみると,横径が1/2周以上~全周未満のものの約28%,1/2周以上~1/2周未満のものの約7%にこのような変形があらわれていました.辺形が両側にみられるものは,一側にしか変形のないものにくらべますと,かなりみつけやすいようです.この場合に注意しなければならないのは,空気注入によっておこる腸管の回転の要素です.とくにS状結腸では,腸間膜が長いので,空気の量,撮影体位のちがいによって腸管に回転が生じやすく,同じ病変でも所見に多彩性がみられるのが特徴です.したがって,所見を判定する際に混乱をさけるためには,まず,空気で腸管を最大限にふくらませた状態にして,各種の撮影体位を試みることです.
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