技術解説
高位の胃病変のファイバースコープによる観察と撮影法
瀬底 正彦
1
1日本医科大学常岡内科
pp.1157-1160
発行日 1970年8月25日
Published Date 1970/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111347
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与えられたテーマ「高位の胃病変の観察と撮影法」とは単に観察,写真撮影をするだけではなく生検も含め高位の胃病変の診断法であると解釈し内視鏡検査上のいくつかのテクニックと注意すべき点について略記したい.なお「高位」とは一応胃体上部より口側と考えると,胃体上部,噴門部穹窿部がその領域に入る.近年,胃上部病変が注目されて来ており,1969年の内視鏡学会秋期大会ではこれがシンポジウムとなっており,胃高位の早期胃癌の症例も数を重ねている.これは,レントゲン学的にも,内視鏡的にも診断の充分でなかった高位病変を正しく診断するため種々工夫がこらされ,これと併行して行なわれた胃カメラ,ファイバーガストロスコープ(以下FGSと略す)など内視鏡の器種の改良が高位観察を容易にしたためでもある.
しかし,一般的には胃上部の観察は,他の部位に比べて難かしいことはたしかであり,また,病変の存在は確認されても,その質的診断に関しては不十分であることが少なくない.そこで,内視鏡観察時の条件をよくするためには工夫が必要となる.同じ内視鏡診断でも胃カメラによる写真診断と,ファイバースコープによる直視下診断では,その診断に至る手技,過程は大いに異なる.胃上部診断上にも,各々その長所,短所はあるが,胃カメラでは反転撮影法を含めて,その撮影手技をルーチン化することが比較的容易であるのに対してFGS検査では,ことに初心者では,時に胃上部の観察が憶劫がられ,十分行なわれない嫌いがある.この点最近の改良されたFGSを用いれば「見てやろう」という気持になって行ないさえすれば観察・撮影は容易である.
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