--------------------
編集後記
西元寺 克禮
pp.1016
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111368
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
胃生検の問題点としては生検採取という手技と,採取された生検材料の読みの2点に集約される.この2点に関し,渡辺,吉田論文は実際の症例を示しながら,生検に対する過剰な信頼に対する警鐘を示している.臨床の立場よりみると,大腸腺腫でも言えることであるが,腺腫と癌との鑑別,GroupⅢと診断された病変の取り扱いが問題となる.喜納論文では今日のGroupⅢの考え方が解説してあり,渡辺論文も併せ,これに対する疑問点が述べられている.光顕での診断にはやはり限界があり,石堂の研究のように誰にでも判定できるための情報の客観化が望まれる.隆起型腺腫の癌化は古くて新しいテーマであるが,渕上,早川の2論文は多数の症例の追跡によるもので,「胃と腸」ならではの美しい写真と共に,興味深い報告である.病変の性状の変化について電子スコープなどを用いたより詳細な検討が今後は必要であることを痛感させられる.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.