今月の主題 胃癌の発生
綜説
ラッテの胃癌
藤村 真示
1
,
杉村 隆
1
1国立がんセンター研究所生化学部
pp.809-816
発行日 1968年6月25日
Published Date 1968/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110846
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.われわれの実験の背景
一般的に癌細胞が正常細胞から作られてくる過程は,一種の突然変異様の変化であるとする考え方が強い1).もち論このような考え方に異論をはさむ余地は大きいので,突然変異,すなわちDNAの一次構造の変化を伴わないで,一種の不可逆的な分化の異常というような理解で発癌を説明しようとする立場もある2,3).このような事態にもとづいて,発癌物質は突然変異誘発物質であるか?突然変異誘発物質は発癌物質であるか?という疑問が提出される.
われわれは微生物に主に用いられて,強力な突然変異誘起物質として知られている,N-Methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine4,5)(NGと略す)に発癌性があるかないかをまず検討してみた.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.