今月の主題 前癌病変としての胃潰瘍とポリープの意義
胃潰瘍の部
前癌病変としての胃潰瘍の意義
太田 邦夫
1
1東京大学医学部病理学教室
pp.674-675
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110801
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私共は,胃癌が日本人の癌の中で最も重要な位置をしめること,胃癌の組織発生についての研究は,臨床病理学的な立場から日本で最も進歩していること,及び最近では数年前には思いも及ばなかったような小規模な癌の材料が沢山あつめられるようになったことなどから,今が日本の学者の総力をあげて胃癌に取り組む時期であると考え,又早期癌をある数つかめば問題の解決は比較的手近かにあると思ったのでありますが,今考えて見ますと,早期癌が手に入っても未だ仲々むずかしい点が残っているように思われます.
今夕のお話は,潰瘍癌を重視する学者と隆起性病変に重点をおく学者とをたたかわせて,酒の肴にするといっては語弊がありますが,争点を明かにするにあるかと思います.私のpointは潰瘍癌を重視すると共に,重視する組織学的な根拠を提示するにあると考えています.そこで,皆様はこの道のexpertsであり潰瘍や癌の組織学については予備知識は全く必要でないものと考え短刀直入に問題に入ります.
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