今月の主題 前癌病変としての胃潰瘍とポリープの意義
巻頭言
夜の円卓会議の成果
村上 忠重
1
1順天堂大学第一外科
pp.671
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110800
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「胃と腸」で始めて特集号を出すことになった.この謂れを述べると昨年の秋,名古屋でひらかれた癌治療学会のナイターの円卓会議として,「胃癌の発生母地としての胃潰瘍とポリープの意義」というテーマを会長日比野教授からいただいた,大変なテーマである.私どもが常に研究の眼目としてみつめている問題ではあるが,いろいろな観点が入りまじって結論渉つけにくい.そこで群盲象をなでるの図宜しく,各自が思い思いに考察を述べあっているというのが現状である.
そこで私は考えた.意見が合致しないことがどうせ始めから分っているのならば,では互の間にどの位の懸隔があるのかを浮き彫りにすれば,それはそれで又意味があるのではないかと.そこで,それを当時『胃癌の組織発生』というテーマで集っている文部省綜合研究班長の太田教授にお話しして,その全班員に討議に参加していただくことを目論んで許しを得た,さらにこの主として病理学者の意見に対立的な考えを抱いているほぼ同数の内科医にも,その対立者として参加をお願いした.そして,このシンポジウムではまとまった結論を出す必要はなく,却ってどの位意見の相異があるかを明らかにしてほしいと頼んだ.
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