産婦人科医療--明日への展開 病態生理の新しい理解
Ⅰ.婦人科篇
頸部前癌病変
秋谷 清
1
,
中村 文武
1
,
宇都宮 篤司
1
Kiyoshi Akiya
1
1東京医科大学産科婦人科学教室
pp.769-774
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206891
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前癌病変の病態については,基礎,臨床を問わず数多くの論義が行われており,また種々の同義語が用いられ,必ずしも統一した見解が得られていなかった(表1参照)。しかし,近年多くのfollow-up studyによる前癌病変へのアプローチがなされ,特に子宮頸部病変においては,dysplasiaがしばしば上皮内癌や浸潤癌に前駆し,また進展することが報告され,1961年第1回国際細胞学会においてその統一見解が申し合わされた。それ以降は癌前駆病変あるいは前癌病変としてdysplasiaなる組織学的診断名が広く用いられるようになっている1,2,9)。
わが国では最近子宮癌の集団検診が普及し,細胞診による癌の早期発見の増加とともに上皮内癌やdysplasiaの検出も著しくレベルアップしている。また,病変の確定診断に必要な生検組織診をより的確なものにするため,外来診療においてコルポスコピーの普及もめざましく,これらの検査法によってdysplasiaの病態を正しく把握することは婦人科臨床医として不可欠なものとなっている。
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