今月の主題 大腸・直腸
研究
結腸憩室炎とそのレ線所見について
宮城 伸二
1
1順天堂大学第一外科
pp.331-339
発行日 1968年3月25日
Published Date 1968/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110690
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Ⅰ.はじめに
最近,日本においても,従来比較的まれな疾患とされて来た結腸憩室炎の報告は,その数が増加してきたように思われる.しかしながら1955年安井らの19例の報告や,1961年牧野らの22例を集計した統計,または最近われわれが集計した本邦の結腸憩室炎64例では,いずれも右半結腸に多いとしているが,本教室の昭和41年8月まで最近2年8カ月間の16例の経験では,欧米の統計に見るのと同様に,左半結腸に特にS字結腸憩室炎が多かった.これらの事実は,本疾患がまれな疾患であるとの従来の概念から,一般に本疾患が広く理解されていないために他の疾患として治療されたり,または診断がつかないで見すごされていると思われるふしがないではない.本邦においてこの疾患が右半結腸とくに盲腸や上行結腸に多いのは,虫垂炎の疑いで手術されて発見される例が多いためでないかと推察される.
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