特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45
十二指腸潰瘍
長尾 房大
1
,
青木 照明
1
1東京慈恵会医科大学第2外科
pp.833-837
発行日 1979年6月20日
Published Date 1979/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207187
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■なぜ内科治療とのControversyになるか
1.病因および病態生理の解明不十分
消化性潰瘍,なかんずく十二指腸潰瘍の病因については,古くから,政撃因子としての酸・ペプシン分泌の神経性過剰が指摘され,防御因子としての粘膜抵抗の弱い"継ぎ目"に潰瘍発生をみることがいわれており,概念的には,その病因,病態は容易に理解され得ている.そして,それらの知見に立脚した理論的根拠にもとづいて各種減酸手術が外科治療に導入され,治療の実際においても極めて優秀な成績をあげている.しかし,こうした総括的概念において異論はあまりないとしても,個々の症例において,どこまで保存的に治療可能で,どのような病態を呈したら外科的に治療すべきか,保存的治療から外科的治療への移行点は極めてあいまいである.これは一重に,病因,病態生理の解明が未だ不十分で疾患自体のlife cycle起承転結の全貌が必ずしも明らかとされていないため,個々の症例での予後の予測が困難でいることによると思われる.
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