増刊号 Common Disease 200の治療戦略
消化器疾患
十二指腸潰瘍
芦田 潔
1
1大阪医科大学第2内科
pp.124-127
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904011
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疾患概念と病態
十二指腸潰瘍は,胃潰瘍や逆流性食道炎とともに酸関連疾患という疾患概念でとらえられることもある.酸関連という言葉からもわかるように,これらの疾患はいずれも胃液酸度との関わりが強い疾患である.事実,強力な酸分泌抑制剤であるH2ブロッカー(H2-RA)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)により,これらの疾患のいずれに対しても極めて優れた治療効果が得られていることからこの疾患概念は容易に理解できよう.このなかで,十二指腸潰瘍は胃潰瘍や逆流性食道炎患者よりも好発年齢が若く,酸分泌能が高い患者のことが多く,病態から考えると最も酸分泌と関連がある疾患といえる.
治療に関しては1920年のSchwartzの格言,すなわち“no acid, no ulcer”にもあるように,古くから胃液酸度の抑制が治療の原則であった.
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