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書評「大腸癌の構造」
清成 秀康
1
1国立病院九州がんセンター
pp.311-312
発行日 1990年3月25日
Published Date 1990/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110413
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大腸癌は近年本邦でも増加傾向にあるが,組織発生についての考え方は“大腸癌の大部分は腺腫経由である”が一般に受け入れられている.著者は本書において上記の説とは異なり,大腸癌は大腸粘膜から直接発生する“de novo cancer”が主流であると主張し,この結論に到達する過程を医学書としての正確な記述に加えて,読物としても平易な語り口で興味深く,著者一流の精緻な論理の展開を辿らせてくれる.
イラストにあるように,“大腸癌の発生は腺腫経由”という従来からの説が,多くの矛盾や不確かさの基盤のうえに危うく立っていることを多くの臨床的,病理学的事象の集積によって明瞭に浮かび上がらせ,次に誰もが経験し,納得できる,例えば幾何学の公理のような事象から再出発し,帰納,演繹,背理法と論理学の手法を駆使して“大腸癌は正常大腸粘膜から”という大腸癌組織発生の論理体系を新たに構築している.
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