--------------------
書評「早期大腸癌―発生から診断・治療まで」
安富 正幸
1
1近畿大学・第1外科
pp.1038
発行日 1993年9月25日
Published Date 1993/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106258
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書は普通の早期大腸癌の解説書ではない.いま世界で注目を集めている表面型の早期癌を中心に,大腸癌の発生から進行癌に至る新しい考え方を示した書である.
表面型の早期癌,特に平坦陥凹型の癌は,日本の内視鏡専門医によりごく最近になって重要性が証明された癌である.本書ではこの表面型早期癌に関する存在診断,質的診断から量的診断,治療方針まで,更に大腸癌の組織発生,増殖進展から進行癌に至る経過,この間に現れる遺伝子変化までの最新の知識が集大成されている.ここで“最新の知識”という表現は間違っているかもしれない.むしろ,執筆している14人のエキスパートの豊富な経験から生まれる早期大腸癌についての考え方や哲学が盛り込まれていると言うべきであろう.現在,いろいろな学会で繰り広げられている大腸癌に関する議論を目の当たりにすることができて興味深い.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.