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書評「消化器官用薬の選び方・使い方」
小林 絢三
1
1大阪市立大学第3内科
pp.1198
発行日 1986年11月25日
Published Date 1986/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110116
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日常診療の中で,ある患者が消化器系疾患であると確診できた場合,それに対して適切な薬剤を選択し,投薬する行為は今日の高度なME技術を背景とした医療の中でも,その医師の臨床経験に大きく左右される.すなわち,残念ながら同一疾患群であっても個々の症例に対して対応する薬剤の選択には微妙な差があり,画一的にすることはむしろ望ましくないとさえ言える.結局は各医師が診療行為の中で試行錯誤を繰り返すことにより修得していくのが薬剤選択(処方)技術と言える.
これに対する解説書は数多いが,総説的に,かつ系統的に記されたものの比重が高いことから,日常の診療の中で利用されることは比較的少ない.最近は,こうした欠点をカバーする意味で,一般的にQ&Aあるいは会話形式のものが流行している.本書もそのようなタイプのものかと考えて一読したが,最初の抗潰瘍剤の項目で,その考えは驚きに一変した.すなわち,それは全く新鮮なものであった.その後,一気に最後まで読破した.その印象を以下に列記してみる.
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