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今月の主題 胃診断学20年の歩みと展望―早期胃癌を中心として
主題
早期胃癌X線診断学20年の歩み―「胃と腸」の論文から
Progress in the Diagnosis of Early Gastric Cancer
八尾 恒良
1
Tsuneyoshi Yao
1
1福岡大学医学部第1内科
pp.17-26
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109643
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はじめに
医師免許証を得て22年,数多くの論文を手掛けてきたが,本稿ほど悩んだ原稿はない.X線診断に関する膨大な文献もさることながら,“早期胃癌のX線診断学”が何を意味するのか,そしてその進歩を計る基準をどこに置けばいいのかわからなくなったからである.
1950年代の後半から,1960年代にかけて,早期胃癌のX線診断はものすごい勢いで進歩し,普及した.そして一部の研究者以外には無縁であった早期胃癌を一般臨床医のものにした.しかし,X線検査で早期胃癌をいくら多数発見しても,それは“診断学”にはなりえない.“学”と称するには,新しい検査法を確立したり,1例として同じものがない早期癌に対する検査法の中から共通する概念を導き出したり,発見された早期癌を集積して診断限界を類推したりする作業がなされていなければならないだろう.
このように定義すれば“学”に関与する研究者はほんの一部となり,これを列挙すればその施設の歴史を述べることになりかねない.本稿に課せられた“X線診断学の進歩”を論述する目的は,そんなものではないと思う.
思い悩んだ末,本誌の1巻から18巻に至るX線診断の論文を抜粋し,論評を加えてみた.そしてX線診断の目標とされる微小癌,Ⅱbの診断の変遷に触れ,早期胃癌X線診断の最弱点とされる噴門部早期胃癌もチェックアップしてみた.X線診断の進歩は「胃と腸」にすべて網羅されているわけではないことは重々承知のうえである.他誌に優れた論文を発表された方には深くお詫びしたい.
なお,紙面の都合上,文献は本誌掲載のものは文中に筆頭著者名,巻,頁,のみを記載し,他誌掲載のもののみを末尾に記した.
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