今月の症例
小さいⅡc:大きさの計測
八尾 恒良
1
Tsuneyoshi Yao
1
1福岡大学第1内科
pp.8-10
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109637
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
切除胃肉眼所見(Fig. 1,2) 前庭部後壁に最大径5mmと見積られるⅡcを認める.その境界線は中央のインゼルに向かって凹で,不連続な線で形作られ,小区単位の蚕食像も認められ,癌としての特徴像を備えている.しかし,2~3mm間隔で切り出されたFig. 3では,癌は白い印の部分に認められ,したがってⅡcの範囲はFig. 3右下のシェーマのごとくであろうと推測される.とすれば,この病変の大きさは最大径8mmということになる.もし,注意深い切り出しが行われなければ,この病変は5mmの癌として通用したかもしれない.なお,切片4の後壁側は,追加切り出しにて癌がないことが証明された.
病理組織構築Fig. 4は病巣中心部(Fig. 3,切片3)の弱拡大顕微鏡写真である.分化型癌で癌は中心のインゼルの表層部分には認められず,陥凹部に限局している.Fig. 3aの粗大化した小区像は主として粘膜内水腫によるものと解釈される.b,c部は他の部と著変をみなかった.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.