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最近の産科診断学の進歩には目ざましいものがある。中でも超音波断層法の産科領域の応用には,従来診断出来ないような妊娠初期の診断,胎児の先天奇形,胎児性別,胎児の体重など数多くの期待がよせられて来ている。このように胎児へのアプローチはその他生化学的手段を用いても行われて来ているが,とくに最近の末婚の婦人の栄養不足と,結婚または妊娠による過食と相まって,母体の骨盤に比して児の大きい割合が増加して来ている。このいわゆる児頭骨盤不均衡に対して骨盤X線計測はポピュラーな検査法であるものの,X線の児に対する障害が問題となり,X線による骨盤計測に代りうるものが求められて来ている1,2)。
この点につき,Kennedyら3)は,76例の分娩例につき,年齢,経産回数,身長,体重と共に足の大きさについての靴のサイズ(śhoe size)も分娩前に調査した。この患者を3群にわけ,身長5フィート以下,5〜5フィート2インチ,5フィート2インチ以上とした。この3群を各々śhoe sizeを5 1/2以下,およびそれ以上の2群にわけ,各群における経腟分娩およびCPDによる帝切,その他による帝切などの分娩様式を調べた。とくに身長による3つの分類の各々につき年齢は平均21〜23歳,経産回数1.5〜1.8回,新生児の生下時体重7ポンド,分娩時の母体体重は141〜163ポンドと身長の低いものが母体体重が少なく高いものが重い以外はとくに身長による各群間の差異はみられなかった。 全76例中57例(75%)は経膣分娩,12例(16%)はCPDによる帝切,7例(9%)は,その他の理由による帝切で分娩した。 身長5フィート以下の最も低い群は8例あり,そのうち5例が≦hoesizeが5 1/2以下であったが,3例(60%)がCPDで帝切を行った。この群でξhoe size 5 1/2以上の例が3例あり,CPD帝切は1例(33%)と9hoe sizeによるCPDの確率はShoe sizeが少いものに推計学的に有意に帝切率が高かった。
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