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書評「腹部エコー図の読み方」
中澤 三郎
1
1名古屋大学・内科
pp.166
発行日 1983年2月25日
Published Date 1983/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109276
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あれはもう7~8年近く前になろうか,これからはエコーを腹部疾患の診断ならびに治療に取り入れなければならないと考え,大阪成人病センターの超音波診断室に見学に行ったことがある.そのときはまだ現在のリニヤ型電子スキャンではなく,手動走査の時代であり,正直に言ってX線診断,ERCP,PTCなどを日常臨床の場に利用していたものにとっては物足りない感じを拭い切れなかった.しかし,最後にone slice上腹部を斜めにさっとprobeが走ったときには思わずアッと声が出そうになるほど,肝・腎の全体像が見事に写し出された.これで同行の服部先生も納得されてエコーを購入されたのである.最初のうちは種々苦労したが,次第に器具も改良されて,今日使用されているような便利な,そして優れた能力を有することになったのである.
北村グループは,この間,エコーがまだ一般的に受け入れられなかったころから一貫してエコーの有用性や必要性を強調され,開拓者の苦しみに耐えながら努力をされたのであり,今日のエコーの隆盛も正に北村グループの研究に負うところが大きい.
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