学会印象記
第35回日本消化器内視鏡学会総会
多田 正大
1
,
清水 誠治
1
1京都第一赤十字病院第2内科
pp.809-811
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108282
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編集室から学会印象記を執筆するよう依頼され,勤務医である私ははたと困ってしまった.大学に籍を置く身であれば3日も4日間も病院を留守にすることはできても,第一線の市中病院に勤務する者にとって,3日間の学会会期すべてに参加することはまずできないからである.それだけに多忙な勤務医にとって,年2回の学会は新しい知識を吸収するための場であり,疎かにはできない貴重な卒後教育の期間である,今回の学会(1988.5.26~28,東京)には筆者の1人である多田は第1日目のみに参加し,2日目と3日目は清水が参加したのであるが,2人で印象記を合作する羽目になってしまったわけである.おそらくこのようなリレー印象記は過去にも例がないものであろう.かくして卒後20年目の中堅の内視鏡医の目と,卒後6年目の新鋭の目で見た真剣な印象記であることを最初にお断りしておきたい.
私たちなりに感じた今回の学会の印象を一口で言うなら,回顧と創造の学会であったと思う.過去の内視鏡学の歴史に対する回顧と反省の中から,新しい創造への道を模索するためのスタートラインであったと感じている.それは会長講演の中にもよく伺えたし,教育講演の演題の選択にも顕われていた.確かに便利なパンエンドスコープの開発によって上部消化管内視鏡検査は随分と進歩し,パンエンドスコピーの分野が確立された.そして生検を内視鏡検査の中に組み込むことによって,名人芸的な診断技術がなくても微小胃癌や食道癌が容易に見つかるようになった.内視鏡検査の大きな進歩である.とにかく便利な時代になったものである.
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