学会印象記
第34回日本消化器内視鏡学会総会
桜井 幸弘
1
1関東逓信病院消化器内科
pp.92-93
発行日 1988年1月25日
Published Date 1988/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107830
- 有料閲覧
- 文献概要
昨年11月19日より3日間,日本消化器内視鏡学総会が,東京慈恵会医科大学渡辺豊教授会長のもとに,京王プラザホテルを会場に盛大に行われた.次回総会を運営することになった私どもとしては,これまでの“気楽”な学会出席と異なり,それなりに緊張して,運営なども注意して見てきたつもりである.その私に印象記を書かせるのは,編集者の多少の意図も感じてしまうが,来年は今回に負けないつもりで運営したいと思っていますので,諸先生方には,宜しく御協力賜わりたく存じます.
さて総会第1日目は,パネルの“大腸扁平隆起性病変の内視鏡像ならびに病理学的特徴”を拝聴した.1,000名入る会場であったが,坐りきれず,入口まであふれるくらいの関心を集めていた.扁平隆起性病変はX線も内視鏡も診断困難な場合が多く,次々と出てくるきれいな症例に,自分の治療が本当に大丈夫かと,チラリと不安に思われてしまった.また,その症例数も多く,まさに現在,早期大腸癌の真の姿が描き出されつつある感じを強く受けた.胃の早期癌解明のプロセスと類似しており,大腸も日本の研究がトップにあることが実感できた.発表の中で内視鏡所見と病理所見のギャップについての指摘と検討があり,大腸内視鏡診断のある意味で有利な点と思われたが,このギャップをどう埋めて臨床へ還元されるかが,今後の問題点であろう.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.