胃と腸ノート
胃全摘後の吸収障害に関する考察
正宗 研
1
,
桜本 邦男
2
1大阪医科大学第2内科
2大阪医科大学一般消化器外科
pp.1086
発行日 1981年10月25日
Published Date 1981/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108217
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胃切除後に発生する病態の中で,特に重要なものは,①吸収障害,②dumping症候群,③貧血,である.それらの病態の発生機序について,Billroth I,II法などでは多くの報告がみられるが,胃全摘例については極めて少ない.胃全摘に伴う変化として,胃は当然失われるが,同時に手術によって新たに造設された消化管の走行異常がその病態に著しく影響する.胃全摘術として,食道・十二指腸端々吻台法やBillroth II法に準じた食道・空腸吻合法などがあるが,前述した病態の発生をできるだけ少なくする目的で,種々の新しい術式が考案されてきた.著者らの教室では,従前Roux-en-Y吻合法が施行されたが,最近ではほとんどの症例にRoux-en-Y法兼空腸・十二指腸吻合法(double tract法)が行われている.著者らはこれらの術式で起こる病態の一部を述べる.
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