外科医のための生理学
胃—消化吸収の生理
渡部 洋三
1
1順天堂大学消化器外科
pp.581-583
発行日 1975年5月20日
Published Date 1975/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206241
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はじめに
消化吸収の面における胃の役割は,摂取された食物を胃液とよく混和し,これを粥状にして少量ずつ小腸に送り込むことである.したがつて胃は消化吸収の面ではあくまでも脇役で,摂取食物ことに蛋白質を除いた固形食物を細かくして,小腸における消化酵素の作用面積を大きくし,消化を効率のよいものにしている.
次に胃液の役割について考察してみると,消化吸収に直接あるいは間接に関与している因子は,pepsin,HCl,内因子の3つである.pepsinは蛋白分解酵素で蛋白質をpeptonにまで分解し,HClはpepsinogenを活性化してpepsinに変え,また食物中の鉄をイオン化して吸収しやすくする.内因子はvit.B12の吸収にとつて不可欠である.
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