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病理学講座 消化器疾患の切除標本―取り扱い方から組織診断まで(12)
組織所見と肉眼所見との対応,病変の再構築(3)腸―その1
Introductory Course of Gastrointestinal Pathothology (12)
渡辺 英伸
1
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
pp.1442-1444
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112881
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はじめに
消化管病変の診断には形態診断学が最も重要な地位を占めている.その形態診断学のうち,今日までのところ臨床医学分野にあってはX線・内視鏡診断法が主役であり,基礎医学分野にあっては病理形態診断法が主役である.同一の消化管病変を前述のそれぞれの診断法で診断する場合,両診断法に共通してみられる重要な点は,“病変の肉眼所見”である逆に非共通点はX線・内視鏡診断法では動的変化を捉えうるが,細胞レベルの変化を捉えることができず,病理形態診断法ではその逆である点と言える.
両診断法のこのような欠点を補うためには,術前・術後のX線・内視鏡所見と切除材料の肉眼所見とを1対1に対応づけ,後者の所見がどのような細胞・組織学的所見によって形成されているかを解明することが必要となる.このためには,切除材料中の肉眼所見を病理組織学的に再構築し,X線・内視鏡所見を細胞・組織学的レベルで再考することが要求される.
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