胃と腸ノート
内視鏡的乳頭切開術―筆者の切開手技について
池田 靖洋
1
1九州大学第1外科
pp.1416
発行日 1976年11月25日
Published Date 1976/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107466
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諸家の方法については本号の主題で詳述されるであろうから割愛し,原則的には同じであるが筆者の考案したcutting probeと手技について述べてみたい.
まず,切開用メス(cutting probe)は,Fig. 1,2に示すごとく,先端部の位置のX線による検索を容易にするため,先端部に金属の小さなmarkを入れ,その3~4cm下方に切開部のwireが露出するようにしたものである.その特徴としては,①内視鏡的胆管造影直後にcutting probeの選択的胆管内挿管を試み,先端の金属markによってcutting probeが総胆管内に確実に位置しているかどうかをX線イメージで確認しうるので,切開方向のオリエンテーションがつき,誤って膵管を損傷することを避けうる.②先端が細く,腰がやや強いことも手伝って,造影用cannulaよりむしろcutting probeのほうが胆管内に挿入され易い.③先端部すなわち非通電部が総胆管内に深く挿入された状態で切開するため,途中,腸ぜん動や嘔吐反射がおきても抜けることがなく,延長切開が容易である.④手許部を操作して,切開部のwireを緊張させると,おのずからwireは乳頭の12時方向を向くので,切開方向の設定が確実である(Fig. 3)ことなどが長所として挙げられる.
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