発行日 1976年11月25日
Published Date 1976/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113198
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早期胃癌の肉眼分類が発足して以来十余年,この間症例の著しい増加とともに,分類上の不都合や混乱を生じることもあり,この分類の再検討の必要性が話題となっていた.「胃と腸」では発刊10周年を契機に,この「早期胃癌肉眼分類の再検討」を特集したが,ここでは紙面の都合もあり,この問題に関連する2,3の病型について,いささか私見を述べてみたい.
現在,わが国では早期胃癌の肉眼分類の使い方に混乱のみられることがあり,その1つはⅡaとⅡcの組み合わせによる混合型である.この組み合わせはⅡcとⅢの組み合わせが,同じ系統の陥凹型に所属しているのに対して,陥凹と隆起という相反する型の組み合わせのため,分類の受けとり方や,使い方が別定者によりまちまちの場合があり,混乱を招いている.ここで本誌特集号の起草案についてみると,「Ⅱa+ⅡcとⅡc+Ⅱaの使い方」の(6)*はⅡc+ⅡaのA案とⅡa+ⅡcとするB案とに意見が分れている.いま分類の基本的立場,すなわち,肉眼的判定を重視する考えをとり入れ,病型の成り立ち方は除外して考えると,(6)はⅡaに比べ広い面積を占めるⅡcがより目立つことから,Ⅱa+ⅡcよりはⅡc+Ⅱaとした方が妥当である.この場合,必要があればsubtypeの考えを入れて,環礁型atoll type(あるいはたむし状)とする.この名称はドーナッツ型に比べ肉眼的イメージが病型により近いためである.
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