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書評「手術基本手技」
村上 忠重
1
1東京医科歯科大学
pp.226
発行日 1976年2月25日
Published Date 1976/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107099
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大変面白くて,ためになる本である.この頃,しばしば原点に還れという言葉が使われる.この本は外科医が原点に還るのに誠にぴったりのものである.しかも原点に還るということは,一般には堅苦しく,窮屈になりがちなものであるが,この本にはそれがない.原点に還りながら,そこに最も新しい考え方が注入されている.実は本当の零の原点ではないからである.10単位だか20単位だか知らないが上に上がっていて,再びもとの座標軸の上に戻ってきたという書き方だからである.
例をとろう.深い所の血管を,助手にしばってもらうと,かえってひきちぎれて逆効果になることがある.こんな時,われわれはせいぜい「注意して縛れ」としか言わない.それがこの本ではどういうふうに注意したらよいかが書いてある.
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