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癌研外科で切除した早期胃癌が1,000例以上に達した折に,どのように発表するか,早期胃癌1,000例という場合に,単発癌と多発癌を合わせて報告するか,単発癌だけで報告するかを検討した.単発・多発を含めると,種々の臨床データ(病変数,占拠部位,予後など)が複雑になるので,単発癌1,000例にすれば,症例数と各種因子の数値が一致して理解しやすいということから,単発癌1,000例について報告した.癌研の報告以後の他施設の報告がどのようになるか関心を持っていた.他の施設の報告は,単発と多発を含めたものであった.単発癌と多発癌との取り扱いは,国立がんセンターでは,995例について,多発癌の全病巣数を加えた1,084病巣について検討し,福井県立病院では,単発癌に多発癌の主病巣を加えた1,126例について,占拠部位,肉眼型,大きさなどを検討している.早期胃癌1,000例の報告といっても,単発癌と多発癌に関する取り扱いが,それぞれの施設によって異なっていることは,一応考慮する必要がある.なお癌研で単発,多発を含めて1,000例となった時期は1976年であった.
早期胃癌1,000例に達した際に,各施設がどのように対応するかも関心事であった.癌研では,第16回日本消化器外科学会(1980)に発表後,すぐに論文として報告した(1981).横山胃腸科病院も,第42回日本臨床外科医学会(1981)に発表して,1984年創立77周年を迎えて「横山胃腸科病院の沿革と業績」を出版し,その中で,早期胃癌1,000例の詳細なデータを記載した.国立がんセンターは,1981年早期胃癌の肉眼形態の変貌を,病理が中心となって報告している.大阪成人病センターならびに愛知県がんセンターは早期胃癌の外科治療をそれぞれ1984年,1989年に論文として報告した.東京女子医科大学消化器病センターは,1983年11月22日早期胃癌1,000例達成の祝賀会を開催し,「早期胃癌1019例の報告」を作成し,参加者に配布した.札幌厚生病院は,早期胃癌1,000例の論文を作成中で,前田晃前院長よりの詳細なデータに基づいて表を作成した.福井県立病院では,山崎信院長が1987年福井県医学会での報告と共に「早期胃癌1,140例,臨床病理学的検討と遠隔成績,1963年1月―1986年12月」を1987年12月6日に作成し,詳細な分析をした.
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