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書評「Colorectal Surgery Illustrated; A Focused Approach」
杉原 健一
1
1国立がんセンター・外科
pp.1026
発行日 1993年9月25日
Published Date 1993/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106256
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外科医になりたてのころは,手術の前には必ず手術書に目を通していた.局面ごとにポイントを押さえた,大きくはっきりしている図が描かれ,説明文も要領を得た簡潔な本が重宝であった.その後,自分なりの経験を積むにつれ,手術書を参考にする機会も減ってきた.その理由の1つには,経験を積んだためその領域で手術書を参考にする必要がなくなったこともあるが,経験と照らし合わせて手術書の記載と合致しない点があること,ないしは,著者の経験に基づいて記載されたポイントが納得できない場合があることにもよる.
個々の外科医が創意工夫をして,より安全な,より確実な手術をめざすことは大切なことである.新しい手法を考え出しても,それが効果的か否かは長年の月日を経ないと不安なものである.一方,それだけでは独善に陥ったり,自己満足に浸ってしまう危険がある.経験豊富な先輩外科医の手術を見学するたびに,常に自分の手術に加えられる何らかのアイデアが得られるものである.
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