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書評「超音波診断 第2版」
有山 襄
1
1順天堂大学消化器内科
pp.1214
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105953
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消化器疾患の診断に超音波検査は不可欠である.特に小病変は血清学的・免疫学的検査では診断困難で,超音波検査を行わなければならない.われわれの経験では外来で超音波検査を行うと有所見率は約60%で,高率に消化器疾患が発見される.肝,胆道,膵の小さな癌の診断が可能になり,早期診断・手術によって治癒する症例が増加しつつある.超音波集検も盛んに行われ,15施設の集計では肝胆膵疾患の発見頻度は検診総数39,000人に対して28%である.癌の発見頻度は0.073%と低いが切除率は40%と高率で,超音波集検は無症状の癌の発見に有効であることがわかる.
日本超音波医学会編集による「超音波診断」第2版が上梓された.序文で竹原靖明編集委員長は日本超音波医学会編纂の書としての信頼と権威を保つべく,積極的かつ慎重に検討を重ねたと記しておられるが,本書はそれにふさわしく,現在の超音波診断と治療の道標と言える.内容は超音波の基礎から頭頸部,体表,循環器,呼吸器,腹部,泌尿器,産婦人科の診断と治療応用まで幅広く記載されており,もれがない.内容が豊富な割りにはコンパクトにまとまっているが,解説は無駄を省き必要事項は詳しく述べられ平易なので読みやすい.値段も手頃である.
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