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書評「「超音波診断」第2版」
河合 忠
1
1自治医科大学・臨床病理学
pp.994
発行日 1994年9月25日
Published Date 1994/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105902
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超音波の医学的応用は,特に診断面において目覚ましい進歩を遂げている.測定装置の改良によって画像が格段に鮮明となったばかりでなく,装置の小型化が進んだ.しかも,多くの臨床研究によって,ほとんどあらゆる組織,臓器への適応が可能になりつつある.それによって,超音波検査はもはや熟練した専門医のみに留まらず,すべての臨床医の日常診療に不可欠な道具となり,文字どおり聴診器並みに広く使用されている.他の画像検査と大きく異なることは,最良の診断結果を得るためには,測定者自身が探触子を自在に動かしon-lineで画像を映し出しながら判断しなければならないことである.ということは,単に映し出された画像を判読する能力だけではなく,生体の解剖・生理学的知識と被検者の症状を十分に勘案して探触子を操作する技術を身につけなければならない.限られた学生実習,初期臨床研修のみではとうてい十分な知識と技術を身につけることは困難であって,どうしても優れた参考書が必要である.そのような医学界の強い要望を受けて,日本超音波医学会の責任編集の下に誕生したのが本書である.
本書のルーツは,1966年に刊行された「超音波医学一基礎から臨床まで」の初版である.その後,第2版が6年後に刊行されたが,その後の急速な進歩を踏まえ,時代の要請に沿うべく,実に16年後の1988年に新しく刊行されたのが「超音波診断」初版である.今回,6年を経過して,カラードプラ法の記述を充実させ,従来の中枢神経系,眼科,耳鼻科,歯科,体表臓器,循環器.呼吸器,腹部,泌尿器科,産婦人科に,新しく整形外科,皮膚科の領域を追加して第2版が刊行の運びとなった.
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