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書評「肝硬変のマネジメント」
山中 正己
1,2
1帝京大学第1内科
2日本肝臓学会
pp.132
発行日 1994年2月26日
Published Date 1994/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105716
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わが国には現在百数十万人の慢性肝炎,30万人弱の肝硬変患者が存在し,毎年それぞれ2万人弱の患者が肝硬変と肝細胞癌により死亡している.主としてウイルス肝炎に起因するものであり,先進諸国の中では目立って多い患者数である.
幸いに,ウイルスマーカー検査法の進歩に支えられた供血者のチェックや,B型肝炎ウイルスに対する母子間感染防止対策の成果により,新たな患者発生数は近年激減している.また,肝硬変の前駆病変としての慢性肝炎に対してもインターフェロン(IFN)療法が効果を上げている.しかし,既に長い経過をたどった症例ではIFNも効き難い傾向があり,長期的展望は別として,これら症例からの肝硬変への進展は当分の間減少しそうもない.厚生省や医師会が慢性肝炎や,肝硬変,肝細胞癌をわが国における21世紀の国民病と位置づける由縁である.
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