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書評「プラクティカル コロノスコピー―挿入手技から治療まで」
牛尾 恭輔
1
1国立がんセンター中央病院放射線診断部
pp.1408
発行日 1995年10月25日
Published Date 1995/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105561
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本書は,長い年月にわたり,情熱を持って大腸ファイバースコープに従事した者にしか書けない実用書である.すなわち,10年余にわたり35,000例ものファイバースコープ検査を行い,20,000個のポリープを内視鏡的に切除した経験を持つ著者が成した快挙である.そこには,自ら苦労し,自ら考え,自ら改善し続け,その内容を世に問うていることがよくわかる.これから大腸の内視鏡検査を始める人や,検査に従事しても途中で壁にぶつかり思い悩んでいる人たちに役立ててもらいたいという,著者の考え方が文章ににじみ出ている真摯な本である.私自身,大腸のX線検査のみならず,過去20年にわたり,大腸のファイバースコープも行ってきた.その間の,初期の2人法による検査法から1人法への変遷,スライディングチューブの挿入,助手としての用手圧迫,ポリペクトミーなど,大腸内視鏡検査の歴史とその進歩を知っている.その間で,失敗もし,顔が青ざめるような経験もしてきたが,本書は,私自身のこれまでの疑問に,目の前の霞を晴らすように答えてくれた本である.
内容は,検査前のチェックリストの項目,スコープの持ち方,点検の仕方から始まり,1人操作法でいかに患者の不快感や苦痛なしに深部ないし深部の大腸へ進めてゆくかを詳しく述べている.わかりやすく,特に注意してほしいと訴えるところは,短文でゴシックで書かれ,美しい内視鏡写真とともにその説明入りのシェーマが生きている.しかも,すべて著者自身が経験したことであるから,これまでの,この種の実用書とは“一味違う”臨場感にあふれる内容である.
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