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書評「臨床のための肝臓病理」
戸田 剛太郎
1
1東京慈恵会医科大学第1内科
pp.1433
発行日 1995年10月25日
Published Date 1995/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105565
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本書は“臨床のため”の肝臓病理とあるように,肝疾患の治療に直接携わる臨床医と病理診断に携わる病理医との肝疾患に対する見解を結び付けるような形で,またそのような目的を持って書かれた書である.他の臓器の病態と同様,肝の病態についても最終診断は病理組織像によるところが大きい.われわれ臨床医の努力は問診,臨床検査,画像検査を駆使することにより,臨床診断をいかにして病理診断に近づけるかに向けられていたと言っても過言ではない.幸いなことに肝臓は肝組織標本が肝生検によって得られるという意味で,診断決定のうえで臨床医と病理学者との対話を構築することが可能である.しかし,異なった領域の研究者が共通の対象について対話をするためには共通の言語を持つことが必須のことであり,共通の言語を持つべく努力することが必要である.
本書の著者である奥平名誉教授はわが国の肝臓病学の分野で長年にわたって御活躍されており,肝臓病を専門とする臨床医が絶大の信頼を寄せ,また同時にわれわれ臨床医の信頼,期待に応えてこられた病理医であり,本書のような著書を上梓されるには最適の方である.
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