特集 炎症性腸疾患1997
主題
Ⅴ.鑑別診断
(4)非特異性多発性小腸潰瘍症
松井 敏幸
1
,
八尾 恒良
1
,
青柳 邦彦
2
1福岡大学筑紫病院消化器科
2九州大学医学部第2内科
キーワード:
非特異性多発性小腸潰瘍症
,
鑑別診断
Keyword:
非特異性多発性小腸潰瘍症
,
鑑別診断
pp.459-468
発行日 1997年2月26日
Published Date 1997/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105080
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要旨 非特異性多発性小腸潰瘍症は比較的まれな疾患であるが,Crohn病と鑑別すべき病態を有しているため,両疾患の病態を正確に把握すべきである.本症は急激な病勢の増悪は少ないが難治性で,手術後も再発する.臨床的には持続する出血と貧血が特徴で,遺伝的にはCrohn病とは異なる.小腸病変は下部回腸が主座の潰瘍性病変で,形態と病変像は特徴的でCrohn病や腸結核とは異なる.小腸潰瘍は辺縁鋭利な線状あるいは菱形で,斜走あるいは輪走し,多発し,浅い.病理学的には線維化は少なく,毛細血管に富み,炎症細胞浸潤は軽い.小腸のほかに,十二指腸にも類似の潰瘍がみられる.また,大腸にも輪状傾向の潰瘍が生じうる.本症の確診には小腸X線検査が重要で,近接して多発する辺縁硬化像,管腔狭小化,Kerckring皺襞の偏側性欠如に加え,浅いニッシェを描出すれば診断が確定する.
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