--------------------
編集後記
大谷 吉秀
pp.1686
発行日 2000年12月25日
Published Date 2000/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104940
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今月の「胃と腸」は20世紀最後の主題にふさわしく消化管画像診断学の過去・現在・未来をお届けする.食道から始まり大腸に至る各臓器の比較診断学がわかりやすく述べられていて読みごたえのある内容である.専門の先生方による座談会では,消化管検査法の開発の段階から将来展望まで熱っぽく語られている.各検査法のこれまでの進歩と現在の役割・限界を知る資料としても貴重である.いつの時代であっても新しい機器の製作開発は,必要性すなわちmotivationと,実際に経費をかけて商品として売り出す価値があるかどうかといった経済原理が働いていることが繰り返し述べられていて,興味深く読ませていただいた.バブルの時代と違い,これからは医療経済にも目を向けながら,厳しい基準のもとで機器の導入が行われていくことは想像に難くない.
さて,“ヒトにやさしい究極の消化管画像診断法”としてカプセル内視鏡やvirtual endoscopyがいよいよ現実のものになってきた.序説で八尾先生が述べられているように,最新鋭の機器はそれを存分に使いこなすことが大切で,その性能を発揮させる技術を習得しながら普遍化し,更によい指導者を育成していくことが重要であろう.“猫に小判”といった諺で片づけられないよう日進月歩の技術革新に遅れを取らない努力を心がけたい.消化管画像診断は,形態をみているとは言いながらも,実際のところヒトのからだを診ていることも忘れてはなるまい.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.