特集 消化管ポリポーシス2000
各論
Peutz-Jeghers症候群
多田 正大
1
,
菅田 信之
2
,
清水 誠治
2
1多田消化器クリニック
2京都第一赤十字病院消化器科
キーワード:
Peutz-Jeghers症候群
,
消化管ポリポーシス
,
過誤腫
Keyword:
Peutz-Jeghers症候群
,
消化管ポリポーシス
,
過誤腫
pp.342-348
発行日 2000年2月26日
Published Date 2000/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104811
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要旨 Peutz-Jeghers症候群は口腔や唇,指趾に特有な色素沈着を伴い,消化管に多発性ポリープを有する優性遺伝の疾患であり,小児期に発症する.消化管ポリープの病理組織像は特徴的であり,粘膜筋板が樹枝状に延長し,正常腺管と同様の過形成な腺管が増生する.過誤腫として位置づける説と過形成性ポリープや再生性ポリープに類似する成り立ちであるとする説がある.ポリープは胃,小腸,大腸に発生するが,発生個数はたかだか数十個である,ポリープの大きさは数mmから腸重積の原因となるような5~6cmの大きいものまで様々である.形は有茎性から亜有茎性,無茎性まで様々な形態を呈するが,大きい病変は広基性となり,表面は分葉して粗大顆粒様を呈する.本症候群では高率に消化管癌,特に大腸癌の発生がみられる.また他臓器悪性腫瘍の合併頻度も高いので,その経過観察にあたって注意を要する.中小のポリープは内視鏡治療で十分に処置できるので,定期的な内視鏡検査を怠ってはならない.
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