Japanese
English
特集 遺伝性消化管疾患の内視鏡診療
Peutz-Jeghers症候群
Peutz-Jeghers syndrome
坂本 博次
1,2
,
熊谷 秀規
3
,
福嶋 敬宜
4
,
矢野 智則
2
Hirotsugu Sakamoto
1,2
,
Hideki Kumagai
3
,
Noriyoshi Fukushima
4
,
Tomonori Yano
2
1自治医科大学富士フイルムメディカル国際光学医療講座
2自治医科大学内科学講座消化器内科学部門
3自治医科大学小児科学講座
4自治医科大学病理学講座・病理診断部
キーワード:
Peutz-Jeghers症候群
,
バルーン内視鏡
,
過誤腫性ポリープ
Keyword:
Peutz-Jeghers症候群
,
バルーン内視鏡
,
過誤腫性ポリープ
pp.850-855
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002122
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.疾患の概要・頻度
Peutz-Jeghers症候群(PJS)は,食道を除く消化管の過誤腫性ポリポーシス,口唇・口腔粘膜・指尖部を中心とする皮膚・粘膜の色素斑(図1)1),常染色体顕性遺伝の三つを主徴とする疾患である。1921年にPeutz,1949年にJeghersらにより報告された2)。本疾患では,小腸の過誤腫性ポリープの増大により腸重積を引き起こし,開腹手術が行われることが多かったが,近年ではバルーン小腸内視鏡による内視鏡的治療が広く実施されるようになってきている。PJSは腸重積を発症する前の小児期から消化管サーベイランスと治療介入を開始することが推奨されており,2018年には小児慢性特定疾病の対象疾病として認定された。また悪性腫瘍の合併頻度が高いため,適切なサーベイランスもきわめて重要である。2022年に消化管ポリポーシス難病班が実施した全国疫学調査では,日本国内の患者数は701例(95%信頼区間581〜820),2019〜2021年の期間有病率は人口10万人あたり0.6,2021年の罹患率は人口10万人あたり0.07と推計された3)。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.