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編集後記
斉藤 裕輔
pp.272
発行日 2005年2月25日
Published Date 2005/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104273
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本号は近年,多く発見されるようになった大腸カルチノイド腫瘍の臨床・病理学的特徴とその治療方針について特集した.アンケート集計での大きさ7mmのリンパ節転移例をはじめとして,平田らの文献検索における5mmのリンパ節転移例,6mmの肝転移例,田畑らの文献検索における3mmの異時性の肝転移例など,小さな病変における例外はあるものの,今回の報告,アンケート集計からも1cm以下の病変に対しては初期治療として内視鏡切除を行い,脈管侵襲や表面の潰瘍の有無を参考にして外科手術を考慮する,10mm以上は外科治療を選択する,というのが現状における一般的治療方針として妥当であろう.また,本号では平田らの論文とアンケート集計において,sm浸潤距離と臨床的特徴,リンパ節転移,遠隔転移の関係が示され,今後カルチノイド腫瘍においてもsm浸潤距離の測定は重要となることが示された.病変発見数の増加とともにカルチノイド腫瘍においても大腸sm癌で議論,施行された手順(転移のリスクファクターの絞り込みおよびsm浸潤度の相対分類から絶対分類への移行)が同様に繰り返されつつある現状が示され,今後はカルチノイド腫瘍の転移リスクの指標の1つとしてsm浸潤距離も重要な因子の1つとなりうることが示唆された.今後のさらなる大規模な集計が必要であろうが,本号が日常臨床におけるカルチノイド腫瘍の診断・治療の一助となることを期待する.
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