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編集後記
斉藤 裕輔
pp.488
発行日 2002年2月26日
Published Date 2002/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103480
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本年の「胃と腸」増刊号は「消化管感染症」をテーマにお届けした.食道から始まり大腸に至る各臓器の感染性疾患について,診断の手順,画像の特徴,鑑別診断を中心に総論でまずまとめあげられている.さらに各論では比較的よくみられる疾患から,まれな疾患に至るまで,消化管の感染症のほとんどの疾患について網羅されており大変読みごたえのある「消化管感染症アトラス」とも呼べる一冊となっている(よくぞこれだけの疾患が一冊に集まったものである,と筆者も驚嘆している).国際化による新たな輸入感染症や,治療の発達による日和見感染,さらには食中毒による多数の患者の罹患など,消化管感染症の増加がみられ,また,以前と比べて多様化し,見直されている今日,疾患による好発部位,病変の形態などそれぞれの疾患の画像のポイントを頭に入れておくことは,治療に直結する診断が得られるため日常診療において大変有用である.もちろん病期により病変の形態が異なり,典型像を呈さないこともあるため,消化管の感染症の診断は画像だけでは困難であり,病歴などの臨床所見や血液,便などの検査,さらには病理検査や遺伝子検索などを総合して行われることは当然である.しかし,臨床症状から消化管感染症を疑い,画像が得られたなら,本号を片手に臨床・画像における類似性を参考にすることで効率の良い診断体系が構築され,本特集号は明日からの日常臨床に大いに役立つ一冊となるものと確信する.
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