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編集後記
八尾 隆史
pp.968
発行日 2004年5月25日
Published Date 2004/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104257
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食道表在癌の深達度診断の基礎はかなり確立されたように思われる.しかしながら,実際の診療では深達度診断を誤る症例も存在する.今回の特集で深達度誤診の原因が詳細に検討され,深達度の浅読みあるいは深読みされた実際の症例が示された.それらの中には再検討すると正診できたであろうという症例も含まれていた.また鬼島の検討結果は,過去に浅読みの誤診をした原因の再検討により浸潤を示す所見が判明してきたことを反映したものであると想像される.今後はこの深読みも是正され,さらに正確な深達度診断がなされるようになっていくと思われる.
ただし病理学的課題も残されており,例えば粘膜筋板が断裂したためにm3となってしまった症例(小山が提示)の扱いや,微小浸潤の意義を再検討する必要がある.今後,深達度以外の因子も含めた治療方針と直結した術前診断が可能となることを期待したいが,そのためには病理組織学的解析を臨床画像と結びつけるさらなる努力が必要であると病理の立場からは痛感した次第である.
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