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編集後記
八尾 隆史
pp.246
発行日 2008年2月25日
Published Date 2008/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101283
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GISTという概念が提唱された当初は臨床的にも病理的にもとまどいと混乱が生じていたが,この数年でその分類や概念も定着しc-kit遺伝子変異に対する分子標的治療の開発がなされ,この領域は診断から治療において目覚ましい進歩を遂げたと言える.しかしながらその進歩の一方で,c-kit陰性のGISTや,まれではあるが多発性・家族性GISTなども報告され,診断と治療に関する新たな問題も生じてきた.そこで,本号で最新の知見によるGISTの概念の整理と臨床的・病理的診断(悪性度評価)や内科的・外科的治療法の進歩を明らかにすることを目的とした.
病理的には,GISTの細胞分化の多様性と悪性度の関連やc-kit以外の遺伝子異常,多発性・家族性GISTにおける遺伝子変異の特殊性,遺伝子異常と悪性度の関連,悪性度評価に関する研究の進歩,消化管外の腹腔内に発生するGISTの特徴,GISTの自然史などがわかりやすく解説されている.また,臨床的には超音波検査やCT,MRI,PETの診断への応用と有用性,最新の外科的および薬物的治療方針が示され,本号はこれまでの知見の総括に加えて報告されていなかった新知見も含まれており,当初のねらい以上に充実した内容となったと思われる.
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