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書評「プラクティカルコロノスコピー 第2版」
武藤 徹一郎
1
1癌研究会附属病院
pp.258
発行日 2002年2月26日
Published Date 2002/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103445
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大腸内視鏡検査(コロノスコピー)が始められたころ,誰が現在の状況を予想したであろうか.コロノスコピーによらず,数々のテクノロジーの進歩に伴う医療の変化には驚くばかりである.そして,1970年,ロンドンのセント・マーク病院でコロノスコピーを行ったことを思い出している.その器械は70cm,アングルは2方向に120°くらいしか曲がらず吸引も内蔵していない代物で,最新のビデオスコープと比べたらとても内視鏡とは呼べない性能しかなかったが,注腸造影で見落とされたS状結腸癌を発見するくらいの働きはしたのである.その後,ずっとましな機能を有する長いスコープを入手して,プッシュするだけの検査を行っていたが,帰国途中に,当時から既に高名な新谷博士の引き技と回転技に接し,目からウロコが落ちたことを鮮明に思い出す.
本書の著者,岡本平次博士はその新谷博士の元へ留学され,その技術の粋を学びかつ盗み取って,帰国以来,コロノスコピー一筋に活躍を続けている,この道の超専門家であることはつとに知られている.当時,学会では1人法,新谷法の強力な推進者であるとともに,盲腸までの到達時間○分○秒,到達率○%という記録を更新することでわれわれを常に驚かせていた.たしかに,コロノスコピーは盲腸まで挿入できなければ話が始まらない.しかし,挿入することだけが目的ではなく,疾患と病変に応じて検査の目的が異なることが,コロノスコピーの難しさであり面白さであろう.従来のコロノスコピーの成書は,ややもすると技術あるいは疾患に偏重したものが多かったが,本書は実によく両者のバランスがとれていることが特徴である.
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