--------------------
書評「肝腫瘍の造影ハーモニックイメージング」
沖田 極
1,2
1日本肝臓学会
2山口大学医学部・先端分子応用医科学講座消化器病態内科学
pp.1402
発行日 2001年10月25日
Published Date 2001/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103343
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
医師国家試験の合格者発表も終わり,5月も末ともなると病院内にはついこの間まで学生であった連中が白衣の裾を翻し威勢良く飛び回っている.そういう彼らに紹介する本の1つに「インフォームド・コンセント」(ニール・ラヴィン著,李啓充訳,学会出版センター)がある.漫画に代表されるように絵物語が本という時代に育った彼らに“インフォームド・コンセントとは”と大上段に構えたテキストを与えてもまず読まれまいと考え,ラブ・ストーリーも適度に挿入され,そして一気に読み終わればインフォームド・コンセントが何たるか十分に理解できるのではという配慮からである.斯様に本というものは時代に即応した形で出版されなければたとえ内容が素晴らしくても死書同然の扱いを受ける.
この度,畏友工藤正俊教授が「肝腫瘍の造影ハーモニックイメージング」という本を出版されたが,本書は活字離れの時代に育った若き医師たちにとっても挿入された多彩な症例からの鮮明で説得性のある超音波画像と解説図を見終われば造影ハーモニックイメージングの肝腫瘍の質的診断における重要性を十分理解できるように工夫されている.特に,第1章から13章まではハーモニックイメージングそのものの原理や検査手技の実際がわかりやすく解説されており,本書を読めばすぐにでも検査が始められるという心配りである.加えて,何よりもありがたいのはこの領域で汎用される用語について章を設けて解説されていることで,これは読者にとっては大変便利である.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.