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書評「肝腫瘍の造影ハーモニックイメージング」
神代 正道
1
1久留米大学医学部・病理学
pp.1282
発行日 2001年9月25日
Published Date 2001/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103323
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肝癌診断・治療の目覚ましい進歩は,各種画像診断の発展・普及によることは論を待たない,本書は,導入されて2年に満たない最先端の肝画像診断法である造影ハーモニックイメージングのすべてについて述べたものであり,これから本法を始めようとする人,既に用いている人,さらには肝臓に興味を持つ病理医にとっても,肝の結節性病変を血流動態から理解するのに欠かせない書と言える.
著者の工藤正俊氏は京都大学医学部を卒業後,早くに象牙の塔を離れ医療の最前線で数多くの肝癌患者の診断・治療に当たる一方,CO2造影超音波やカラードプラーにより早期肝癌の血流動態について多くの新知見を内外に明らかにし,肝癌の早期診断に多大の貢献をしている.著者は近畿大学にhead huntingされ,わずか2年の短期間でゼロからスタートした教室を有数の消化器内科教室に築き上げ,さらに超多忙にもかかわらず本書を上梓されたことで,筆者は改めて著者への畏敬の念を強くしている.本書の強みは,多くの生検例や切除例の検討に基づいた著者の肝結節性病変,特に早期肝癌や境界病変の組織形態についての正確で豊富な知識と,それらの画像診断によるダイナミックな血流動態についてのevidenceの積み重ねにある.そのことが,著者が動注造影エコー法を肝結節性病変の画像診断のgold standardとみなす信念の裏付けともなっている.
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