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書評「肝転移―メカニズムと臨床」
小川 道雄
1
1熊本大学医学部第2外科
pp.40
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103127
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悪性腫瘍と良性腫瘍の決定的な相違は,悪性腫瘍が浸潤能,転移能を持つことである.転移はリンパ行性,血行性,播種性に大別されるが,腫瘍外科医は血行性転移,播種性転移に対しては絶望感を抱いていた.しかし最近は,特に血行性転移に対して,手術を中心に放射線療法,化学療法,免疫療法などを駆使して,果敢に戦いが挑まれるようになった.しかしながら血行性転移の治療成績の飛躍的な向上は,なお達せられていないのが現状である.
金沢大学がん研究所の磨伊正義教授の編集された「肝転移―メカニズムと臨床」は,血行性転移のうちでも最も頻度が高く,しかもその治療戦略が視野に入ってきた肝転移に的をしぼった書籍で,ほかに類をみない好著である.
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