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書評「肝の画像診断」
高安 賢一
1
1国立がんセンター中央病院放射線診断部
pp.114
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103923
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金沢大学放射線科の松井修先生の編著で,この度「肝の画像診断」が上梓された.著者とは同世代で仕事の分野も極めて似通っており,大きな関心をいだいていた折,ついに出た待望の書である.肝臓なかでも肝細胞癌の診断と治療は日本が世界に誇りうる分野の1つであり,著者を中心としたグループから発表された研究成果は間違いなく日本を代表する仕事であり,一流外国雑誌を通じて放射線科のみならず内科,外科の領域に大きなインパクトを与えている.
本書は全5章から成る.268頁のB5判でありながら,総数229図(うち,カラー写真13枚)と18の表が使われているが,手順よく解説されており読者の関心を引きつけてやまない.内容は超音波から,CT,MRI,血管造影そしてRIにおける検査手技から肝の良性,悪性の腫瘍まで,日頃見る著者特有の緻密さと粘り強さで,ていねいに順を追って述べられている.びまん性の肝疾患は,ともすれば腫瘍性病変に隠れてしまいがちな領域であるが,肝炎,肝硬変,脂肪肝,ウィルソン病など多くの領域にわたって解説されており,その広い視野に驚かされる.引用文献は総数600を超えており,その1/4は著者らの心血を注いだ論文によって占められているのを見ると,改めて金沢大学の業績を思い知らされる.また,それらが各章の終わりにまとめて記載されており,使いやすい.
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